Purity of essence

文芸全般、主に映画と書評です

オプション性について

 オプションとは一般人には馴染みがない概念だが、要するに選択肢があるということだと思えばいい。

オプション性こそがブラックスワンに備える最良の手段であり、オプションがない状態が脆い、とナシームタレブは書いている。

選択肢のない状態がなぜ脆いかというと、スクイーズされやすい、つまり簡単に言えば足元を見られやすい

卑近な例でいうならば

 

A.一生家賃10万円を払う覚悟で賃貸を選ぶ

B.30年ローンで不動産を購入し、月8万円払う

 

一見するとBのほうが得だが、Aには好きなところ、収入に応じて安いところ高いところ、お好みでどこにでも移転できるという選択肢がある。

一方でBは収入が落ちても30年ローンを払い続けなければならない、移転せざるを得なくなったとき、足元を見られ破格で買い叩かれる可能性もある。後に残るのは借金だけ。という事態が起こりえる。

もちろんBでも移転せざるを得ない状況が来ないかもしれないし、Aでも賃貸から立ち退きを要求される可能性もあるが、選択肢はAのほうが多いのは確実である。逆に言えば選択肢のために余分な金額を支払っているとも言える。

 

基本的には単純な利益よりも選択肢の多さを選ぶべきだと思う。

 特に、上記の例ではオプション性にコストがかかっているが、コストが同じなら、つまり無料オプションがあるのなら、迷わずそちらを選んだほうがいい。