Purity of essence

文芸全般、主に映画と書評です

ギーク化する世界とついていけない人たち

という現象が進みつつある気がする

身の回りにIT制御の電化製品が増えるたびに使い方を覚えきれない人間と

使いこなせる人間に分断されていく

まあいわゆるデジタルデバイドではあるのだが、

問題は年齢ではなく知能(論理的知能)でわかれてしまうことだろう

宗教、占いは古代の知恵なのかもしれない

専門家の意見はチンパンジーのダーツ投げと同じくらい信じられる

という意見がある。

これに従えば、経営判断は専門家に聞くよりもダーツ投げ(もしくはコイン投げ)で決めたほうが、面倒な会議を積み重ねたり、コンサルタントを雇う費用をかけなくて済む分、いいだろう。

実際にアテナイの政治はくじ引きで決められたらしい。

亀の甲羅のひび割れ具合や星座の位置で物事を決めることは、チンパンジーのダーツ投げと専門家の意見が同レベルだというのなら、それなりの整合性はあると思う。占い師や神司という専門家を通す分、非効率ではあるが。宗教政治は本質的には現代と何ら変わらないのかもしれない。

新・アリとキリギリス

最近のバージョンではラストはアリが食べ物を分けてあげる代わりにキリギリスがヴァイオリン演奏を披露するという結末になっているらしいけど、これは実は原作と何ら変わらないラストであることに気づいた

つまり

新・アリとキリギリス(とセミ

夏の間、蟻たちは冬に備えて食料をため込み続け、キリギリスはヴァイオリンの腕を磨き続けセミは遊んですごす。

やがて冬が来ると蟻はため込んだ食料で耐え忍び、キリギリスは長年磨き続けたヴァイオリンの腕前を披露し蟻から食料を分けてもらう。しかし、取引するものも披露するものも何もないセミは餓死しました。おしまい。

 

結局食料なりスキルなりなんなりと積み上げてきたものがない者は餓死する、というキリギリスが餓死するオリジナルの展開と本質的には何の違いもない。

超予測力 フィリップ・E・テトロック 超予測のための10か条

1.トリアージ

簡単な時計型の質問やフワッとした雲形の質問には時間をかけない

・容易に予測が可能な事柄を予想しない(これはトーナメントのためでもあるが)

・予測不可能なブラックスワン的事柄を予測しようとする

この二つの失敗に注意

 

2.一見手に負えない問題は、手に負えるサブ問題に分解

いわゆるフェルミ推計である。わかることとわからない要素に分ければ少しは勝率が高まるはずだ

 

3.内側の視点と外側の視点の適度なバランス感覚

唯一無二のように見える難問でも外側の視点で見れば比較対象がある可能性はあるのでそれを参考にする、それから内側の視点で修正する

 

4.エビデンスに対する過少反応と過剰反応を避ける

できるだけ小刻みに予測は見直すが、重要なシグナルを発見した時は一気に反応する

 

5.どんな問題でも自らと対立する見解を考える

逆の立場で考える。強硬派と穏健派の戦略を巧みに使い分けよう

 

6.問題に応じて不確実性はできるだけ細かく予測する

世の中に絶対はない、どちらとも言えないは何も言ってないに等しい。だから50:50と45:55の違いを見極めることで優位に立てる

 

7.自信過少と自信過剰、慎重と大胆な判断のバランスを見つける

判断に飛びつくリスクとどちらとも言えないをうろつくリスクを理解する。兆候を見逃す、虚報を発するという二つの予測ミスを減らす努力が必要だ

 

8.結果を検証する。後付けバイアスには注意する

失敗しても基本的な考えは間違っていなかったが、細かい点を見逃した、成功しても偶然だったということは大いにありうる。成功を続けても自信過剰にはならないように

 

9.仲間の最良の部分を引き出し、自分の最良の部分を引き出してもらう

チームマネジメント力をつける。特に重要なのは

相手の立場を理解する事、正確な問いかけ、建設的対立

 

10.ミスをバランスよくかわし、予測の自転車を乗りこなす

何事にも実践してみてフィードバックが必要だ

 

11.心得を絶対視しない

不測の事態に備えよ、全く同じ状況はない

現実世界には絶対的ルールは作れない、せいぜい手引き書である

超予測力 フィリップ・E・テトロック まとめ

超予測者の特徴

慎重 確実なことは何もない

謙虚 現実はどこまでも複雑である

決定論 何が起きるか何が起きないかは決まってない

積極的柔軟性 意見とは死守すべき宝ではなく、検証すべき仮説

知的、博識、認知欲求が強い 好奇心旺盛で、パズルや知的刺激を好む

思慮深い 内省的で批判的に見ることができる

数字に強い 

 

予測の方法

現実的 特定の思想や考えに固執しない

分析的 狭い視野から一歩下がり、広く他の視点を検討する

トンボの目 複眼のように多様な視点を大切にしてそれを自らの視点に取りこむ

確率論的 可能性を多段階評価する

慎重な更新 事実が変われば意見も変える

心理バイアスの直観的理解 自分の思考に認知、感情バイアスが影響することの重要性を理解していること

 

生きざま

しなやかマインドセット 能力は伸ばせると信じる

やりぬく力 どれだけ時間をかかろうと、努力し続ける強い意志

超訳一般理論まとめ

1.失業は供給能力に比して需要不足から発生する

2.賃金は古典派や市場原理から考えるほどは下がらない

3.需要は投資と消費の合計、消費はほぼ一定だから需要不足は投資に依存する

 つまり1より投資すれば失業は解消する。公共投資でもいい

4.投資は収益の期待値と金利の関係で決まる。金利より儲かるプロジェクトに投資されるから

5.未来のことはわからないから期待収益率は適当、よって金利のほうがより投資量に影響する

6.金利流動性選好できまる。流動性選好が上がると現金が欲され、金利が上がる。

7.現金が欲しい人に金を与えれば現金の抱え込みが減り(現金需要が減るから)金利が下がる

8.現金の供給を増やせば金利が下がる、金利が下がれば投資が増える、投資が増えれば需要も増える、需要が増えれば雇用も増える。

金利が上がれば全く逆の流れで雇用が減る。

9.金利(金の市場)と実体経済は連動していない

 

おまけ

金は勝手に作れないこと、代替が効かないこと、いくらでも貯蔵できることから特殊な地位を占める。たとえば小麦は需要が上がれば供給が増えるし、貯蔵する費用も発生する。

このような特殊な立ち位置にいるから金を求めるので、金の供給を増やしてやれば雇用は増える。

景気の循環は投資家のマインドで決まる。不景気だといい投資でも尻込みするし、景気が良ければ危険なプロジェクトでもみんな投資する

賃下げは消費は減るし、雇用者は様子見するなどして、雇用が増えるとは限らない。雇用市場は需要供給曲線の通りにはいかない

貨幣数量説によると、金の量と物価は連動するが、失業がある場合、お金の量が増えれば一部は需要増加=雇用が増えるために使われるから物価は上がるとは限らない。

金利で金持ちが貯蓄に走ると資本形成に有害

金利が下がれば不労所得は下がる。さらに金利が下がれば投資に回る、投資が増えれば投資が増えれば収益率も下がる。よって金利生活者は死ぬ。