経済学を学ぶことは、経済の問題を解決するためではなく、経済学者に騙されないようにするためにある。(ジョーン・ロビンソン)
という語録を聞いた。これは経済学に限らずいろいろな分野で通じる理屈だろう。
かつてマキャベリの君主論は悪徳の書とされていた。復権に貢献したのは18世紀フランスの啓蒙思想家たちであり、その理由は
「君主が何を企んでいるかを知ることは君主の支配に抵抗するために必要だから」である。
これも上記ジョーン・ロビンソンの名言と主旨は同じだろう。ようは敵を知れ、ということだ。
現代社会では企業は大衆心理や行動経済学を駆使してあらゆる方向に誘導、ようするに消費させようとしている。ネット広告や通販サイトはその極地とも言える状態で、膨大な顧客データやユーザーの消費活動の挙動、それこそ、クリック回数やページの滞在時間まで記録されており、どんな広告が目を引くか、どんなフレーズが、どんな色が、どんな関連商品を紹介するべきかを日々研究されている。
科学を知っていれば水素水だのマイナスイオンだの疑似科学に騙されることもなくなるし、数学を知っていれば統計のマジックに騙されることもない。心理学を知っていれば消費の罠にハマることも少なくなるだろう。
このようなトラップだらけの時代で生きるためには消費者側も知恵をつけなければならないだろう。現代社会で無知でいることはまさにカモがネギを背負っているような状態かもしれない。